「(4)障害の特性の理解と生活環境の調整に関すること。」は,自己の障害にどのような特性があるのか理解し,それらが及ぼす学習上又は生活上の困難についての理解を深め,その状況に応じて,自己の行動や感情を調整したり,他者に対して主体的に働きかけたりして,より学習や生活をしやすい環境にしていくことを意味している。
今回の改訂では,自己の障害の特性の理解を深め,自ら生活環境に主体的に働きかけ,より過ごしやすい生活環境を整える力を身に付けるために必要な「障害の特性の理解と生活環境の調整に関すること。」を新たに示すこととした。
目次
具体的指導内容例と留意点
吃音のある幼児児童生徒の場合,吃音に関する知識を得る機会がないと,吃症状が生じることへの不安感や恐怖感をもち,内面の葛藤を一人で抱えることがある。
そこで,自立活動担当教師との安心した場の中で,吃音について学び,吃音についてより客観的に捉えられるようにしたり,発達の段階に合わせて,吃症状の変化等の,いわゆる吃音の波に応じて,例えば,
- 在籍学級担任に「どうして欲しいのか」等を伝える
- その内容と伝え方を話し合っていったりする
ことが大切である。
自閉症のある幼児児童生徒で,感覚の過敏さやこだわりがある場合,大きな音がしたり,予定通りに物事が進まなかったりすると,情緒が不安定になることがある。
こうした場合,
- 自分から別の場所に移動したり
- 音量の調整や予定を説明してもらうことを他者に依頼したりする
など,自ら刺激の調整を行い,気持ちを落ち着かせることができるようにすることが大切である。
LD・ADHD等のある幼児児童生徒の場合,
- 学習や対人関係が上手くいかないことを感じている
- 自分の長所や短所,得手不得手を客観的に認識することが難しかったり
- 他者との違いから自分を否定的に捉えてしまったりする
ことがある。
そこで,個別指導や小集団などの指導形態を工夫しながら,
- 対人関係に関する技能を習得する
- 自分の特性に気付き
- 自分を認め
- 生活する上で必要な支援を求められる
ようにすることが大切である。
生活環境を調整する主体を育てることが重要!
そのためには、障害状態になりやすい自分の特徴を理解していくことが必要。
その過程は決して楽ではありません。
ノーペイン・ノーゲインの精神も育てましょう♪
他の項目との関連例
視野の障害がある幼児児童生徒の場合,慣れている学校内であっても環境の把握が十分ではないことがある。それは,見える範囲が限られることにより周囲の状況把握に困難が生じるためである。
このような場合には,
- 自分の見え方の特徴を理解
- 部屋に置かれた様々なものの位置などを自ら触ったり
- 他者から教えてもらったりしながら確認する
ことが必要である。
その際,ものの位置関係が把握しやすいように,
- 順序よくていねいに確認できるようにすることが大切
- 自分にわかりやすいように整理したり,置く場所を決めたり
しておくこともよい。
さらに,こうした視野の障害を踏まえた指導を工夫するほか,必要以上に行動が消極的にならないように情緒の安定を図ることも大切である。
したがって,視野の障害のある幼児児童生徒が,自分の見え方に適切に応じて,自分が生活しやすいように環境を調整できるようにするためには,この項目と「2心理的な安定」,「3人間関係の形成」,「4環境の把握」等の区分に示されている項目の中から必要な項目を選定し,それらを相互に関連付けて具体的な指導内容を設定することが大切である。
聴覚障害のある幼児児童生徒の場合,補聴器や人工内耳を装用していても,聴覚活用の状況は個々によって異なる。
そのため,補聴器や人工内耳を装用して,音がどの程度聞こえ,他者の話がどの程度理解できるのかについては,聴力レベルや補聴器装用閾値のような客観的な値だけで決定されるものではない。
そのため,聴覚障害のある幼児児童生徒が,それぞれの発達段階に合わせて,
- どのような音や声が聞こえて
- どのような音や声が聞き取れないのか
を自分でしっかりと理解し,時と場合によって聞こえたり聞こえなかったりすることに気付かせることが重要である。
また,卒業後,
- 自分の聞こえの状況
- 最も理解しやすいコミュニケーションの方法
を自ら他者に伝えていくことが,聞こえる人との円滑なコミュニケーションにつながると考えられる。
聴覚活用に加え,
- 手話
- 筆談
など,他者とコミュニケーションを図るための様々な方法があることを理解し,その中で自分が分かりやすいコミュニケーションの方法を選択できるようになることが大切である。
そのため,聞こえの状況や聴覚障害の特性を自ら理解し,それを他者に伝えられるようにしていくことが不可欠になる。指導にあたっては,「2心理的な安定」や「6コミュニケーション」の区分に示されている項目の中から必要な項目を選定し,それらを相互に関連付けながら自己肯定感を下げることなく自己理解を促していけるような具体的な指導内容を設定することが大切である。
他者に伝えて、対応してもらうための気持ちの良いコミュニケーションができるようにしましょう♪
「申し訳ない🙇」も良いですけど、「ありがとうございます😊✨」「たすかります😊✨」と言うと、相手もきっと「やって良かった😊」と思うはずです✨