「(3) 身体各部の状態の理解と養護に関すること。」は,病気や事故等による神経,筋,骨,皮膚等の身体各部の状態を理解し,その部位を適切に保護したり,症状の進行を防止したりできるようにすることを意味している。
目次
具体的指導内容例と留意点
視覚障害のある幼児児童生徒の場合,発達の段階に応じて,
- 眼の構造や働き
- 自己の視力や視野などの状態
について十分な理解を図ることが必要である。
その上で,保有する視機能を維持するため,
- 学習中の姿勢に留意したり
- 危険な場面での対処方法を学んだり
して,視覚管理を適切に行うことができるように指導することが大切である。
聴覚障害のある幼児児童生徒の場合,発達の段階に応じて,
- 耳の構造
- 自己の障害
についての十分な理解を図ることが必要である。その上で,補聴器等を用いる際の留意点についても理解を促すなどして,自ら適切な聞こえの状態を維持できるよう耳の保護にかかわる指導を行うことが大切である。
下肢切断によって義肢を装着している場合,
- 義肢を装着している部分を清潔に保ったり
- 義肢を適切に管理したり
することができるようにする必要がある。
床ずれ等がある場合,患部への圧迫が続かないように,定期的に体位を変換することの必要性を理解し,自分で行う方法を工夫したり,自分でできない場合には他の人に依頼したりできるようにすることが大切である。
このように病気や事故等による身体各部の状態を理解し,自分の生活を自己管理できるようにするなどして,自分の身体を養護する力を育てていくことは極めて大切なことである。
また,これらの指導は,医療との関連がある場合が多いので,必要に応じて専門の医師等の助言を得るようにしなければならない。
努力していても機能が低下していくこともあります。
モチベーションを維持するためには支えてくれる他者が必要です。
他の項目との関連例
筋萎縮等により筋力が低下し,運動機能などの各機能が低下する筋ジストロフィーの幼児児童生徒の場合,身体の状態に応じて運動の自己管理ができるように指導することが大切である。
特に,心臓機能や呼吸機能の低下は命に関わることであるため,筋肉に過度の負担をかけないように留意しつつ機能低下を予防することが重要である。
そのためには,幼児児童生徒が
- 病気の原因や経過
- 進行の予防
- 運動の必要性
- 適切な運動方法や運動量
などについて学習することが必要である。
その際,治療方法や病気の進行,将来に関する不安等をもつことがあるので,情緒の安定に配慮した指導を行うことが求められる。
また,病気の進行に伴い,
- 姿勢変換
- 移動
- 排泄
などの際に周囲の人に支援を依頼することが必要になってくるので,場や状況に応じたコミュニケーション方法について学ぶことも大切である。
こうしたことから,筋ジストロフィーの幼児児童生徒が身体の状態に応じて運動の自己管理ができるように指導するためには,この項目と「2心理的な安定」の区分に示されている項目との関連を十分に図るとともに,「6コミュニケーション」等の区分に示されている項目の中から必要な項目を選定し,それらを相互に関連付けて指導内容を設定することが大切である。
自己管理をする力を身につけた上で、
- 自分で動いて対応する
- 他者に依頼して補助してもらう
これらを状況に応じて自己選択・自己決定できることが重要です♪