「(1)他者とのかかわりの基礎に関すること。」は,人に対する基本的な信頼感をもち,他者からの働き掛けを受け止め,それに応ずることができるようにすることを意味している。
目次
具体的指導内容例と留意点
人に対する基本的な信頼感は,乳幼児期の親子の愛着関係の形成を通してはぐくまれ,成長に伴い様々な人との相互作用を通して対象を広げていく。
障害のある幼児児童生徒は,障害による様々な要因から,基本的な信頼感の形成が難しい場合がある。
人に対する認識がまだ十分に育っておらず,他者からの働き掛けに反応が乏しい重度の障害がある幼児児童生徒の場合には,抱いて揺さぶるなど幼児児童生徒が好むかかわりを繰り返し行って,かかわる者の存在に気付くことができるようにすることが必要である。
このように
- 身近な人と親密な関係を築き
- その人との信頼関係を基盤としながら
- 周囲の人とのやりとりを広げていくようにすること
が大切である。
また,他者とのかかわりをもとうとするが,その方法が十分に身に付いていない自閉症のある幼児児童生徒の場合,身近な教師とのかかわりから,少しずつ,教師との安定した関係を形成することが大切である。
そして,やりとりの方法を大きく変えずに繰り返し指導するなどして,そのやりとりの方法が定着するようにし,相互にかかわり合う素地を作ることが重要である。
その後,やりとりの方法を少しずつ増やしていくが,その際,言葉だけでなく,具体物や視覚的な情報も用いて分かりやすくすることも大切である。
さらに,嬉しい気持ちや悲しい気持ちを伝えにくい場合などには,
- 本人の好きな活動などにおいて
- 感情を表した絵やシンボルマーク等を用いながら
- 自分や,他者の気持ちを視覚的に理解したり
- 他者と気持ちの共有を図ったりする
ような指導を通して,信頼関係を築くことができるようにすることが大切である。
まずは1人の先生と好きな活動をして関係をつくりましょう。
重度・重複障害の場合には、担任の先生の思い入れと観察力が重要です♪
他の項目との関連例
視覚障害のある幼児児童生徒の場合,相手の顔が見えない,あるいは見えにくいために,他者とのかかわりが消極的,受動的になってしまう傾向が見られる。
このような場合,だれかが話し掛けてきた場面では,
- 自分の顔を相手の声が聞こえてくる方向に向けるようにしたり
- 相手との距離を意識して声の大きさを調整したり
するなどのコミュニケーションを図るための基本的な指導を行うことが大切である。
また,その場の状況の変化が分からない場合は,必要に応じて,友達や周りにいる人に問いかけるなど,積極的に他者とかかわろうとする態度や習慣を養うように指導することが大切である。
したがって,視覚障害のある幼児児童生徒に対して他者との積極的なやりとりを促すには,この項目に加えて,「2心理的な安定」や「6コミュニケーション」等の区分に示されている項目の中から必要な項目を選定し,それらを相互に関連付けて具体的な指導内容を設定することが大切である。
コミュニケーション力と人間関係は深く関わりがあります。
人間関係の形成が進むとコミュニケーションの指導はやりやすくなるでしょう♪