【考慮すること】主体的に取り組む指導内容【自立活動】

重要フレーズ

児童又は生徒が,興味をもって主体的に取り組み,成就感を味わうとともに自己を肯定的に捉えることができるような指導内容を取り上げること。

意欲的、主体的に学習課題に取り組めるようにするには

児童生徒が意欲的,主体的に自分の学習課題に取り組めるようにするには,児童生徒が自分の課題,つまり,具体化された学習課題を認識し,自覚できるようにすることが大切である。自分が何のために,何をするのかを理解し,学習への意欲がわいてくるような指導内容を取り上げることが大切である。したがって,児童生徒が自分のなすべきことを意識し,努力の結果,課題が達成できたという成就感を味わうことができるようにするためには,次のような点に配慮しながら指導内容を設定することが必要である。

解決可能で、取り組みやすい指導内容にすること

(ア)児童生徒にとって解決可能で,取り組みやすい指導内容にすること。

  • 余りに課題が容易すぎても進歩は望めない
  • 難しすぎても意欲を喪失させてしまう

この点に留意することが大切である。

興味・関心をもって取り組めるような指導内容にすること

(イ)児童生徒が興味・関心をもって取り組めるような指導内容にすること。
児童生徒が自ら進んで意欲的に取り組もうとする自発性を促すために,

例えば,

  • 指導の段階を細分化する
  • 興味を引くような教材・教具を準備する
  • 賞賛や激励を適宜行う

などの動機付けが行われることが多い。

こうした外的な動機付けから始めて,次第に主体性や意欲を高めるようにすることが重要である。

目標を自覚し、意欲的に取り組んだことが成功に結びついたということを実感できる指導内容にすること

(ウ)児童生徒が,目標を自覚し,意欲的に取り組んだことが成功に結び付いたということを実感できる指導内容にすること。

児童生徒が成就感を味わうためには,自分の課題達成の度合いを理解できるようにする必要がある。

そのためには,

  • 自己評価ができるように課題を細分化
  • 達成度をわかりやすくする

ことが大切である。

また,わずかな進歩であっても,褒めたり励ましたりすることを忘れてはならない。

自己に対する肯定的なイメージを育てることについて

 自己に対する肯定的なイメージを育てることについては,これまで小学部,中学部において示していたが,より早期から行うことが大切であることから,今回の改訂で,幼稚部においても「自己を肯定的に捉えることができるような指導内容を取り上げること」を新たに示した。

「自己を肯定的に捉える」感情

 「自己を肯定的に捉える」感情は,自分にもよいところがあると認める感情であり,

  • 自己肯定感
  • 自己有能感

と言われることもある。

自己を肯定的に捉えることができるような指導は,

  • 幼稚部の各領域や小学部,中学部の各教科等の指導
  • 学校の教育活動全体を通して行われなければならない

自立活動の指導においては特に重視されなければならないことである。

障害のある幼児児童生徒の自己に対するイメージは,障害をどのように捉えるかということに大きく影響を受ける。ときには,

  • 障害のある自分をひどく他者から劣っていると思う
  • 自分を肯定的に捉えられないことも少なくない

自立活動は自己に対するイメージの形成に深くかかわる

 自立活動の指導は,障害による学習上又は生活上の困難と向き合い,その困難の改善・克服を目指す指導であるから,

  • どのようなことを課題とし
  • どのような学習活動に取り組み
  • その結果をどのように受け止めるか

ということは,自己に対するイメージの形成に深くかかわることになる。

自己を肯定的に捉える感情は,一般に,

  • 自分のよいところを認められる段階
  • 自分のよいところも悪いところも含めて自分であることを肯定できる段階

に移っていく。

したがって,幼児児童生徒が自己に対して

  • どのような感情を抱いているのかを把握
  • 成長に即して自己を肯定的に捉える感情を高められるような指導内容を検討

することが大切である。

振り返る機会を設定して成長を実感できるように

 このような指導としては,例えば,

  • 幼児が繰り返し取り組んでできるようになったこと
  • その過程で見られた変化など

を教師がしっかりと称賛することで,幼児が自分の存在を認められ,受け入れられているという安心感などを得られるようにすることが考えられる。

児童生徒においては,自立活動の学習に取り組む自分について振り返る機会を適宜設定して,

  • がんばっている自分を確認したり
  • 過去と比較して成長していることを実感できるようにしたりする

ことが考えられる。

自分の得意・不得意に対する認識を促す

 また,児童生徒の意見を取り入れながら自立活動の学習課題を設定することも,

  • 障害に対する認識
  • 自分の得意な面及び不得意な面などに対する認識

を促すことになり,自己を肯定的に捉える感情を高めることにつながる。

同じ障害のある先輩の話を聞く機会も有効

 さらに,同じ障害のある年長者がモデルとなって自己を肯定的に捉えていくきっかけになることもあるので,特に中学部では先輩の話を聞く機会を設けることも有効な方法の一つと考えられる。

他者との比較や基準に照らして自己を客観的に捉えられるようにする

 一方,自己を客観的に捉えられるようにすることも大切である。自己を肯定的に捉える感情は,

  • 自分のよいところも悪いところも含めて自分であることを肯定できるもの
  • 自己を他者との比較や何らかの基準によって客観的に捉えられるようにすることも必要

発達の段階に応じて適切に指導することが求められる。

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