「(2)姿勢保持と運動・動作の補助的手段の活用に関すること。」は,姿勢の保持や各種の運動・動作が困難な場合,様々な補助用具等の補助的手段を活用してこれらができるようにすることを意味している。
目次
具体的指導内容例と留意点
「(1)姿勢と運動・動作の基本的技能に関すること。」の「①この項目について」に示すとおり,姿勢保持と上肢・下肢の運動・動作を含めて基本動作という。
この基本動作は,
- 姿勢保持
- 姿勢変換
- 移動
- 四肢の粗大運動と微細運動
に分けることができる。
基本動作の改善及び習得を促進し,日常生活動作や作業動作の遂行を補うためには,幼児児童生徒の運動・動作の状態に応じていろいろな補助的手段を活用する必要がある。
また,この補助的手段の活用に関する指導内容には,
- 各種の補助用具の工夫(選択、カスタマイズ)
- その使用法の習得(一般的な使い方、子どもに合わせた使い方)
も含まれている。
補助用具には,
- 座位安定のためのいす
- 作業能率向上のための机
- 移動のためのつえ
- 歩行器
- 車いす
- 白杖
等がある。
このほか,よく用いられる例としては,
- 持ちやすいように握りを太くしたり、ベルトを取り付けたりしたスプーンや鉛筆
- 食器やノートを机上に固定する装置
- 着脱しやすいようにデザインされた衣服
- 手すりなどを取り付けた便器
などがある。
また,表現活動を豊かにするために,コンピュータの入力動作を助けるための補助用具も重要なものである。
幼児児童生徒が補助用具を必要とする場合,目的や用途に応じて適切な用具を選び,十分使いこなせるように指導する必要がある。
また,発達の段階を考慮しながら,
- 補助用具のセッティングや収納の仕方を身に付けたり
- 自分に合うように補助用具を調整したり
することを指導することも大切である。
一方で,例えば,車いすの使用が度重なることにより,立位を保持する能力の低下を来す場合がある。
したがって,補助用具の使用の仕方を工夫し,幼児児童生徒の身体の動きの維持や習得を妨げないように十分留意しなければならない。
なお,つえ,歩行器,車いす及び白杖等の活用に当たっては,必要に応じて専門の医師及びその他の専門家の協力や助言を得ることが大切である。
周囲の大人が1つの方法にこだわると、子どもはそれ以外の手段を使うことに罪悪感を感じます。
「目的や用途に応じて適切な手段を選ぶ」これはかなり重要です!
肢体不自由の子どもが長距離・長時間移動するには、電動車椅子を使った方が合理的という考え方ができます♪
他の項目との関連例
障害が重度で重複している幼児児童生徒の場合,
- 自分で自由に姿勢を変えたり
- 座位や立位を保持したり
することが困難なことが多い。
横になったままの状態が続くことは,筋や骨格,内臓等の発達の上でも望ましくないことから,補助用具を活用するなどしていろいろな姿勢をとることが大切である。
座位をとることが可能ならば,
- 骨盤を安定させるための装置
- 体幹を支えるためのベルトなどが付いたいす
を活用すると効果的である。
しかし,単にいすを用意してベルト等を装着するだけでよいわけではなく,頭を上げる,背筋を伸ばすなど自分の身体を操作して座位を保つことを指導しなければならない。
また,身体を起こした状態を維持するためには,積極的に見ようとしたり触ろうとしたりすることが必要である。
そこで,幼児児童生徒が視覚や触覚などを積極的に活用するように,教材・教具や環境の設定を工夫することが大切である。
このように,障害が重度で重複している幼児児童生徒が,いろいろな姿勢を保持するために補助用具を活用する場合には,この項目に加えて,「5身体の動き」の区分に示されている他の項目や「4環境の把握」等の区分に示されている項目の中から必要な項目を選定し,それらを相互に関連付けて具体的な指導内容を設定することが大切である。
①自分の身体を動かして対応すること
②補助用具を使って対応すること
③両方を巧みに組み合わせること
これらを状況に応じて選択・判断できる力を育むことも重要になります♪