「(2)他者の意図や感情の理解に関すること。」は,他者の意図や感情を理解し,場に応じた適切な行動をとることができるようにすることを意味している。
目次
具体的指導内容例と留意点
他者の意図や感情を理解する力は,多くの人々とのかかわりや様々な経験を通して次第に形成されるものである。
しかし,障害のある幼児児童生徒の中には,単に経験を積むだけでは,相手の意図や感情を捉えることが難しい者も見られる。
自閉症のある幼児児童生徒の場合,言葉や表情,身振りなどを総合的に判断して相手の思いや感情を読み取り,それに応じて行動することが困難な場合がある。
また,言葉を字義通りに受け止めてしまう場合もあるため,行動や表情に表れている相手の真意の読み取りを間違うこともある。
そこで,
- 生活上の様々な場面を想定し
- そこでの相手の言葉や表情などから
- 相手の立場や相手が考えていることなどを推測する
ような指導を通して,他者と関わる際の具体的な方法を身に付けることが大切である。
視覚障害のある幼児児童生徒の場合,相手の表情を視覚的にとらえることが困難であるために,相手の意図や感情の変化を読み取ることが難しい。
この場合,
- 聴覚的な手掛かりである相手の声の抑揚や調子の変化などを聞き分けて
- 話し相手の意図や感情を的確に把握するとともに
- その場に応じて適切に行動することができる態度や習慣を養う
ように指導することが大切である。
日本文化はハイコンテクストなので「言わなくてもわかるよね?」が当たり前💦
意図や感情をどうやってつかむのか?その手がかりを一緒に探しましょう♪
他の項目との関連例
聴覚障害のある幼児児童生徒の場合,聴覚的な情報を入手しにくいことから,視覚的な手掛かりだけで判断したり,会話による情報把握が円滑でないため自己中心的にとらえたりしやすいことがある。
例えば,本当は嫌な気持ちを抱いていても,場面によっては,笑い顔になってしまうこともある。そのようなときに,聴覚障害のある幼児児童生徒が,笑っているという表情だけから相手が喜んでいると受け止めてしまうと,相手の感情に応じて適切に行動できないことがある。
また,会話による補完が十分にできないため目の前の状況だけで判断しがちなことがあるが,
- そこに至るまでの状況の推移についても振り返りながら
- 順序立てて考えるなど
- 出来事の流れに基づいて総合的に判断する経験を積ませる
ことも必要である。
その際には,聴覚活用や読話等の多様なコミュニケーション手段を場面や相手に応じて適切に選択し,的確に会話の内容を把握することも必要になる。
したがって,聴覚障害のある幼児児童生徒が相手の感情や真意を理解できるようにするためには,この項目に加えて,「2心理的な安定」,「4環境の把握」,「6コミュニケーション」等の区分に示されている項目の中から必要な項目を選定し,それらを相互に関連付けて具体的な指導内容を設定することが大切である。
白血病などで入院している児童生徒の場合,乳幼児期の入院と異なり,学齢期では一人で入院することが多いため,
- 病気や治療の不安を一人で抱え込んだり
- 家族から離れて過ごすことに孤独を感じたり
- 逆に親に心配させないように強がったり
することがある。
このような自己矛盾を抱える中で,周囲の人へ攻撃的な行動や言葉が表出されることがある。
このような場合,例えば,
- 小集団での話し合い活動や遊び等の取り組みを通して
- 不安に気付かせたり
- 他者に感謝したり意見を聞いたりして協調性を養う
ような指導を行うことが有効な方法である。
したがって,学齢期に入院している児童生徒に対しては,この項目に加えて,「2心理的な安定」「6コミュニケーション」に示されている項目を選定し,それらを相互に関連付けて具体的な指導内容を設定することが大切である。
自分の気持ちを受けとめてもらえると、心が落ち着きます。
相手の気持ちに配慮して「受けとめやすい表現」にする力は重要です♪