【コミュニケーション】(2)言語の受容と表出に関すること【自立活動】

重要フレーズ

「(2)言語の受容と表出に関すること。」は,話し言葉や各種の文字・記号等を用いて,相手の意図を受け止めたり,自分の考えを伝えたりするなど,言語を受容し表出することができるようにすることを意味している。

具体的指導内容例と留意点

コミュニケーションが成立する前提

意思が相手に伝わるためには,伝える側が意思を表現する方法をもち,それを受ける側もその方法を身に付けておく必要がある。

このように言語を受容したり,表出したりするための一般的な方法は音声や文字であるが,幼児児童生徒の障害の状態や発達の段階等に応じて,

  • 身振り
  • 表情
  • 指示
  • 具体物の提示

等、非言語的な方法を用いる必要がある場合もある。

(課題例)脳性まひの場合

脳性まひの幼児児童生徒の場合,言語障害を伴うことがあるが,その多くは意思の表出の困難である。

内言語や言葉の理解には困難がないが,

  • 話し言葉が不明瞭であったり
  • 短い言葉を伝えるのに相当な時間がかかったり

することがある。

こうした場合には,

  • 発語機能の改善を図る
  • 文字の使用や補助的手段の活用を検討

して意思の表出を促すことが大切である。

(課題例)聴覚障害の場合

聴覚障害のある幼児児童生徒の場合,言葉を受容する感覚として視覚と保有する聴覚とがある。

しかし,言葉の意味は単に視覚や聴覚による刺激を与えるだけで獲得されるわけではない。

  1. 言葉を構成している音節や音韻の構造、あるいは文字に関する知識等を用いながら
  2. 言葉が使われている状況と一致させて
  3. その意味を相手に適切に伝えていく

ことが大切である。

また,意思の表出の手段の一つとして音声があるが,幼児児童生徒の障害の状態によって,その明瞭度は異なっている。

したがって,こうしたことに配慮しつつ,

  • 音声だけでなく身振りを状況に応じて活用
  • 手話・指文字や文字等を活用

して、幼児児童生徒が主体的に自分の意思を表出できるような機会を設けることが大切である。

(課題例)構音障害の場合

構音障害のある場合,

  • 発声・発語器官(口腔器官)の微細な動きやそれを調整することが難しかったり
  • 音韻意識の未熟さがあったり

するため,正しい発音にならないことがある。

そこで,

  • 構音運動を調整する力を高めたり
  • 音韻意識を育て,音の弁別や自分の発音をフィードバックできるようにしたり

して,正しい発音を定着させることが大切である。

ダイナモ
ダイナモ

コミュニケーションは機能することが重要です。

外国語の訛り(なまり)もアイデンティティとして尊重される時代です。

指導する側が明瞭さや流暢さにこだわりすぎないようにしましょう♪


他の項目との関連例

【自閉症】メッセージの受信・発信を高度化(コミュ×心理×人間)

自閉症のある幼児児童生徒の中には,他者の意図を理解したり,自分の考えを相手に正しく伝えたりすることが難しい者がいることから,

  • 話す人の方向を見たり
  • 話を聞く態度を形成したり

するなど,他の人との関わりやコミュニケーションの基礎に関する指導を行うことが大切である。

その上で,正確に他者とやりとりするために,

  • 絵や写真などの視覚的な手掛かりを活用しながら相手の話を聞くこと
  • メモ帳やタブレット型端末等を活用して自分の話したいことを相手に伝えること

など,本人の障害の状態等に合わせて様々なコミュニケーション手段を用いることが有効である。

また,

  1. 相手の言葉や表情などから,相手の意図を推測するような学習を通して
  2. 周囲の状況や他者の感情に配慮した伝え方ができるようにする

ことも大切である。

このように自閉症のある幼児児童生徒が,相手の意図を受け止め,自分の考えを伝えることができるようにするためには,話し言葉や絵,記号,文字などを活用できるように指導するとともに,一人一人の実態に応じて,この項目に加えて,「2心理的な安定」,「3人間関係の形成」及び「6コミュニケーション」等の区分に示されている項目の中から必要な項目を選定し,それらを相互に関連付けて具体的な指導内容を設定することが大切である。

【ADHD】落ち着きを維持しながらのコミュニケーション(コミュ×心理×人間×環境)

ADHDのある幼児児童生徒の場合,思ったことをそのまま口にして相手を不快にさせるような表現を繰り返したりすることがある。

このような要因としては,

  • 行動を調整したり,振り返ったりすることが難しいこと
  • 相手の気持ちを想像した適切な表現の方法が身に付いていないこと

が考えられる。

このような場合には,教師との個別的な場面や安心できる小集団の活動の中で,

  • 相手の話を受けてやりとりをする経験を重ねられるようにしたり
  • ゲームなどを通して適切な言葉を繰り返し使用できるようにしたり

して,楽しみながら身に付けられるようにしていくことが大切である。

また,こうした言葉のやり取りの指導を工夫するほか,

  • 体の動きを通して気持ちをコントロールする力を高めること
  • 人と会話するときのルールやマナーを明確にして理解させること
  • 会話中に相手の表情を気にかけること

などを指導することが大切である。

したがって,ADHDのある幼児児童生徒が,適切に自分の気持ちや考えを伝えるには,この項目の内容と「2心理的な安定」,「3人間関係の形成」,「4環境の把握」等の区分に示されている項目の中から必要な項目を選定し,それらを相互に関連付けて具体的な指導内容を設定することが大切である。

ダイナモ
ダイナモ

他の障害特性を考慮した指導法を用いて、コミュニケーション力を高めることが効果的です♪

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