【身体の動き】(4)身体の移動能力に関すること【自立活動】

重要フレーズ

「(4)身体の移動能力に関すること。」は,自力での身体移動や歩行,歩行器や車いすによる移動など,日常生活に必要な移動能力の向上を図ることを意味している。

移動とは,自分で自分の身体を動かし,目的の場所まで行くことで,興味や関心を広げる上でも重要な手段であり,自立するために必要な動作の一つである。一般に,首のすわりから始まって,寝返りから座位へと続く,いわゆる初期の運動・動作の発達の到達点が歩行である。

具体的指導内容例と留意点

(課題例)視覚障害の場合

視覚障害のある幼児児童生徒の場合,発達の段階に応じて,

  • 伝い歩きやガイド歩行
  • 基本的な白杖の操作技術
  • 他者に援助を依頼する方法

などを身に付けて安全に目的地まで行けるように指導することが重要である。

また,弱視の児童生徒の場合は,白杖を用いた歩行の際に,保有する視覚を十分に活用したり,視覚補助具を適切に使ったりできる力を付けることも必要である。

(課題例)肢体不自由で歩行が難しい場合

障害の状態により,筋力が弱く,歩行に必要な緊張が得られない幼児児童生徒の場合,歩行器を用いた歩行を目標に掲げて指導を行ったり,歩行が困難な場合には,車いすによる移動を目標に掲げたりするなど,日常生活に役立つ移動能力を習得するよう指導する必要がある。

(課題例)心臓疾患(病弱)がある場合

心臓疾患のある幼児児童生徒の場合,心臓への負担がかかることから歩行による移動が制限されることがあり,必要に応じて歩行器や電動車いす等の補助的手段を活用することになる。

このような場合には,医師の指導を踏まえ,病気の状態や移動距離,活動内容によって適切な移動手段を選択し,心臓に過度の負担をかけることなく移動の範囲が維持できるよう指導することが大切である。

(課題例)重度の肢体不自由がある場合

運動・動作が極めて困難な幼児児童生徒の場合,寝返りや腹這いによる移動だけでなく,それらも含めた基本動作すべての改善及び習得を目指す必要がある。

したがって,姿勢保持や上下肢の基本動作などの指導経過を踏まえて幼児児童生徒に適した移動の方法を選択することが大切である。

例えば,寝返りや腹這いができなくても,姿勢を保持することができるようならば,移動を補助する手段の活用が考えられる。

(課題例)屋外での移動、公共交通機関の利用

なお,障害の状態や発達の段階によっては,

  • 学校外での移動
  • 交通機関の利用

の際に,一人での移動が困難な場合もある。

そこで,このような社会的な場面における移動能力を総合的に把握し,実際の場面で有効に生かされるよう指導することが大切である。

例えば,駅など危険が予想される場所を歩く場合に,ためらわずに駅員や周囲の人に援助を依頼することなど,安全が確保できる方法を十分に理解し,身に付けておくことが重要である。

ダイナモ
ダイナモ

移動に必要な力は、身体の動きだけでなく、状況把握を含めた様々な要素からなっています。

せまい歩道をフラフラ歩いていると、「転んで交通事故にあわないだろうか」と不安ですね💦

移動に関しては、各教科の指導と合わせて教えるべきことがたくさんあります♪


他の項目との関連例

【肢体不自由】自分で選択・判断・問題解決しながら移動(身体×環境×コミュニケーション)

肢体不自由のある幼児児童生徒が,目的地まで一人で移動できるようになるためには,移動能力のほか様々な状況に対する的確な判断力を身に付ける必要がある。

肢体不自由のある幼児児童生徒が車いすを利用して外出する場合,

  • 車いすの操作に慣れる
  • 目的地まで車いすを操作し続けるための体力

がなければならない。

それに加えて,

  1. 目的地までの距離や段差の状況などを調べ
  2. 自分の車いすを操作する力を考慮して一人で行けるかどうかを判断し
  3. 一人で行くことが難しい場合には,援助者を探して依頼する

ことが必要となる。

また,実際に外出した際には,

  • 途中で通行人に道を尋ねたり
  • 路上にある障害物を取り除いてもらったり

することも考えられる。

そのため,周囲にいる人に質問をしたり,依頼をしたりするコミュニケーションについても習熟しておくことが大切である。

したがって,肢体不自由のある幼児児童生徒が,目的地まで一人で移動できるようにするためには,この項目に加えて,「4環境の把握」,「6コミュニケーション」等の区分に示されている項目の中から必要な項目を選定し,それらを相互に関連付けて具体的な指導内容を設定することが大切である。

ダイナモ
ダイナモ

自由に移動できることでQOLは爆上がりします♪

小さい頃から公共共通機関を使ったり、道を選択して移動したりする経験をしていきましょう♪

重度の肢体不自由がある場合には「移動させられる」ことがほとんどになります。

「自分で決めて移動させてもらう」経験を大事にしましょう。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


PAGE TOP
Verified by MonsterInsights