個々の児童又は生徒について,障害の状態,発達や経験の程度,興味・関心,生活や学習環境などの実態を的確に把握すること。
目次
実態把握のために集める情報
個々の幼児児童生徒の実態把握は,すべての教育活動に必要なことであるが,自立活動の指導に当たっては,実態の的確な把握に基づいて,個別の指導計画を作成することから特に重要である。
幼児児童生徒の障害の状態は,一人一人異なっている。
自立活動では,それぞれの障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服することを目標にしているので,必然的に一人一人の指導内容・方法も異なってくる。
そのため,個々の幼児児童生徒について,
- 障害の状態
- 発達や経験の程度
- 興味・関心
- 生活や学習環境
などの的確な把握が求められている。
ここに実態把握の目的があり,実態把握の内容やその範囲は自立活動の指導を行う観点から明確に整理する必要がある。
実態把握をする際に収集する情報の内容としては,
- 病気等の有無や状態
- 生育歴
- 基本的な生活習慣
- 人やものとのかかわり
- 心理的な安定の状態
- コミュニケーションの状態
- 対人関係や社会性の発達
- 身体機能
- 視機能
- 聴覚機能
- 知的発達や身体発育の状態
- 興味・関心
- 障害の理解に関すること
- 学習上の配慮事項や学力
- 特別な施設・設備や補助用具(機器を含む)の必要性
- 進路
- 家庭や地域の環境
等、様々なことが考えられる。
その際,幼児児童生徒が困難なことのみを観点にするのではなく,
- 長所
- 得意としていること
も把握することが大切である。
熟練してくると「この力があるなら、こういう授業ができる!」と前向きな情報収集になります!
実態把握をしているとワクワクして楽しくなってきます♪
実態把握の方法
幼児児童生徒の実態把握の方法としては,
- 観察法
- 面接法
- 検査法
等の直接的な把握の方法が考えられるが,それぞれの方法の特徴を十分に踏まえながら目的に即した方法を用いることが大切である。
幼児児童生徒の実態を的確に把握するに当たって,保護者等から
- 生育歴や家庭生活の状況を聞いたり
- 保護者の教育に対する考えを捉えたり
することは欠くことができないことである。
保護者から話を聞く際には,その心情に配慮し共感的な態度で接することが大切である。
また,教育的立場からの実態把握ばかりでなく,心理学的な立場,医学的な立場からの情報を収集したり,幼児児童生徒が支援を受けている福祉施設等からの情報を収集したりして実態把握を行うことも重要である。
保護者との面談では「みんなが努力して、成長した結果の今」という心構えで聴くことが大切です。
他機関や他の専門家の意見も参考になります。
指導内容を重点化したり、すみ分けたりする判断ができます♪
個別の指導計画の引き継ぎ
しかしながら,幼児児童生徒の実態把握や情報収集が多岐にわたって十分に行われていないと,個別の指導計画が作成できないというわけではない。
その時点で把握できた実態や収集できた情報に基づいて個別の指導計画を作成し,それに基づく指導を通して,
- 実態把握を更に深化させ
- 個別の指導計画を修正していく
という柔軟な対応も大切である。
その際,当該学年よりも前の各学年までの個別の指導計画を参考にして,
- これまで何を目標に学んできたのか
- 学んで身に付いたこと
- 学んで身に付きつつあること
- まだ学んでいないこと
など,その学習の記録を引き継いで指導すべき課題の整理に生かしていく視点も大切である。
また,把握した実態から今指導すべき課題を整理する視点としては,数年後の幼児児童生徒の学びの場や生活の場などを想定し,そこで必要とされる力や目指す姿を明らかにすることも必要である。
子どもの芽生え反応、課題の優先度の変更、新たな課題の出現、様々なことがあります。
個別の指導計画に縛られすぎないようにしましょう!
情報の適切な管理
なお,このようにして得られた情報は,実際の指導に生かされることが大切であり,個別の指導計画を作成するために必要な範囲に限定するとともに,個人情報の保護の観点から,その情報の適切な管理についても十分留意する必要がある。
情報収集をしながら、他機関との連携について保護者から同意を得ておくとスムーズです♪