子ども同士の人間関係を充実させたい!
集団で指導したいがどのような考え方や方法があるのか知りたい!
楽しみながらソーシャルスキルを身につけられるようにしたい!
目次
障害のある子どもたちは人間関係が充実する機会が必要
特別支援教育の対象である子どもたちは「人間関係の形成」に関する以下のような機会が必要です。
- 人間関係でのポジティブな体験
- 人間関係を築くためのスキル獲得
学習機会は誰にとっても必要ですが、障害がある場合にはとりわけ留意してチャンスを作る必要があります。
これには、大きく3つの理由があります。
- 生まれつきの特性が起因して対人関係の障害を感じやすいため
- 在籍の都合で対人関係の出会いが広がりにくいため
- 心身の健康管理のために活動範囲が制限されるため
このような制約がある中で、子どもだけの力で課題をクリアしていくことは困難です。
ネガティブな経験は必ずしも悪いことではありません。しかし、失敗について一緒に考えたり、心理的に支えてくれる存在がなければ、対人関係などをできるだけ避ける方向に心が動くかもしれません。そうなると、ますます対人関係に関する学習や体験の機会が少なくなっていくことが考えられます。
そこで、まずは、親や先生の工夫によって体験や学習の機会を確保することが望まれます。
親ができることは地域コミュニティに積極的に出ていくことです。
学校ができることは自立活動の充実になります。
サポーターと一緒に成功を喜んだり、失敗について一緒に考えて学びに変えていったり、再チャレンジする体験を通して、失敗を恐れないタフな心も育っていきます。
人間関係を充実させる意欲を高めるために
人間関係に関わる自立活動のスタートラインは子どもによってそれぞれです。
- 成功体験や失敗体験の積み重ねはこれから始まる状態
- 対人場面を回避しないが、気持ちがやや後ろ向きな状態
- ネガティブな経験の積み重ねで対人関係への意欲が低下している状態
どのスタート地点であっても、人間関係を充実させていきたいという意欲を高めるためには成功体験が必要です。
現在の人間関係が充実していることと、未来の明るい人間関係を想像することは深く関わりがあるからです。
したがって、現在の人間関係が充実していない状況で、ロールプレイによる場面に応じたコミュニケーションの学習を展開してもなかなか意欲は高まりません。
どうせやっても意味がない。
と思い込んでいるからです。
意欲が低い状態では、自発的に人と交流しようと思うことはありません。
経験や学習機会の拡大という意味でも人と関わろうとする意欲を高めていくことは重要です。
まずは、難しく考えすぎずに楽しいグループ活動から始めてみましょう♪
クラス集団を良くしていくという観点では特別活動もありますが、自立活動とは学習の要点が違います。
自立活動は「障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服する」ことが目標にある!
つまり、学習活動の中で次のことに向き合って考えていくことが大切です。
- 自分自身にある生まれつきで簡単には変えられない特徴のこと
- 人・モノなど、環境との間に生じる障害状態のこと
- 自分がスキルを身につけることで状況が改善すること
- 自分が行動を起こすことで環境が動いていくこと
自立活動ですから、集団活動ではありつつも、個の課題にアプローチするという目的意識が重要なのです。
自立活動の授業を受けている子どもたちは、特別支援教育の対象ですから何らかの障害状態が発生しやすいです。
すなわち、楽しいグループ活動を展開しようとしたら、それなりに難しさが生じたり、配慮や工夫が必要になる可能性が高いということです。
先生が支援を頑張りすぎると、子どもは課題を感じることなく終わるということもあります。
そこは注意が必要です。
支援をしすぎる、あるいは「うまく支援ができていなのが問題」と考えて、先生が自己犠牲的になると次のリスクがあります。
- 子どもの主体性が育たない(自分で解決しようとしない)
- 他者依存的になる(受け身になる)
- うまくいかないのは環境が悪いという極端な因果関係で捉える
うまくいかないので、先生なんとかしてください。
生涯にわたって上記のような感じになるリスクがあります。
どうしたらいいか工夫を一緒に考えようね♪
期待感が高まるために成功体験ができるようにすることも大切ですが、うまくいかないときに誰が悪いとかそういう思考を走らせないように留意しましょう。
もしも、活動の結果、以下のような状況になったらどうしましょう?
- 先生が何ら工夫や配慮をする必要がなく、とにかく楽しかった
- 子どもたちも何ら考えたり工夫したりする必要がなく、とにかく楽しかった
「課題にアプローチできていないため、活動が不適当だった」
と反省しますか?
それとも
「このメンバーが全員で楽しめる最適な活動を発見した!何で難しさが生じなかったんだろう!?」
とポジティブに振り返りますか?
この成功体験から、それぞれの子どもが自分が楽しめる&成功体験ができるシチュエーションを理解することが重要です♪
つまり、活動の振り返りが重要になるのです!
他者と関わる必然性&楽しい活動からはじめてみよう
子どもたちが楽しめる活動は色々とあります。
- カードゲーム(トランプ、カルタ、アルゴなど様々な市販のゲーム)
- すごろく
- テーマトーク
- ごっこ遊び(ロールプレイ)
- 作業(折り紙、工作)
遊びのレパートリーが増えるというだけでも価値があると思います。
加えて、これらの活動をする上で障害状態が発生したら、その時が課題解決について考えるチャンスになります。
その解決を先生が考えてもいいのですが、「子どもが考える時間」を設定することが重要です!
活動の中での子どもの目的は「楽しむ」でOKです♪
指導目標は個別に設定し、子どもが課題に気づき、自分で考えて対応できるような授業にしましょう♪
主に、以下の区分・項目が関連することが考えられます。
各項目のイメージが持ちにくい場合は、リンク先を一読されることをおすすめします♪
指導目標を広げすぎると複雑になりますので、焦点をしぼって取り組みましょう♪
本記事のまとめ
- 人と関わることへの期待感を高めよう!
- 集団活動の中で個々の課題にアプローチしよう!
- 楽しいグループ活動から始めよう!
- 先回りして支援するのではなく、子どもと一緒に考えよう!
- 考える時間、ふりかえる時間を設定しよう!
- 難しく考えずに一般的な遊びなどを選択してみよう!
- 6区分27項目を意識した上で指導目標を設定しよう!
学校生活が良くなっていく実感をもてることが大切です!
先生も一緒に楽しみましょう♪