【心理的な安定】(2)状況の理解と変化への対応に関すること【自立活動】

重要フレーズ

「(2)状況の理解と変化への対応に関すること。」は,場所や場面の状況を理解して心理的抵抗を軽減したり,変化する状況を理解して適切に対応したりするなど,行動の仕方を身に付けることを意味している。

具体的指導内容例と留意点

場所や場面が変化することにより,心理的に圧迫を受けて適切な行動ができなくなる幼児児童生徒の場合,教師と一緒に活動しながら徐々に慣れるよう指導することが必要である。

(課題例)視覚障害の場合

視覚障害のある幼児児童生徒の場合,見えなかったり,見えにくかったりして周囲の状況を即座に把握することが難しいため,初めての環境や周囲の変化に対して,不安になることがある。

そこで,

  1. 教師が周囲の状況を説明する
  2. 幼児児童生徒が状況を把握するための時間を確保したり
  3. 急激な変化を避けて徐々に環境に慣れたり

することが大切である。

また,

  • 日ごろから一定の場所に置かれている遊具など,移動する可能性の少ないものを目印にして行動したり
  • 自ら必要な情報を得るために身近な人に対して的確な援助を依頼したり

する力などを身に付けることが大切である。

(課題例)選択性のかん黙の場合

選択性かん黙のある幼児児童生徒の場合,特定の場所や状況等において緊張が高まることなどにより,家庭などではほとんど支障なく会話ができるものの,特定の場所や状況では会話ができないことがある。

こうした場合,

  1. 本人は話したくても話せない状態であることを理解し
  2. 本人が安心して参加できる集団構成や活動内容等の工夫をしたり
  3. 対話的な学習を進める際には,選択肢の提示や筆談など様々な学習方法を認めたり

するなどして,情緒の安定を図りながら,他者とのやりとりができる場面を増やしていくことが大切である。

(課題例)自閉症の場合

自閉症のある幼児児童生徒の場合,日々の日課と異なる学校行事や,急な予定の変更などに対応することができず,混乱したり,不安になったりして,どのように行動したらよいか分からなくなることがある。

このような場合には,

  • 予定されているスケジュールや予想される事態や状況等を伝えたり
  • 事前に体験できる機会を設定したり

するなど,状況を理解して適切に対応したり,行動の仕方を身に付けたりするための指導をすることが大切である。

また,周囲の状況に意識を向けることや経験したことを他の場面にも結び付けて対応することが苦手なため,人前で年齢相応に行動する力が育ちにくいことがある。

そこで,

  • 行動の仕方を短い文章にして読むようにしたり
  • 適切な例を示したり

しながら,場に応じた行動の仕方を身に付けさせていくことが大切である。

ダイナモ
ダイナモ

ソーシャルストーリーやソーシャルスキルトレーニング(SST)のことがうっすらと書いてある感じですね♪


他の項目との関連例

【視覚障害】状況を理解し、人に尋ね、安心を獲得(心理×人間関係×環境)

視覚障害のある幼児児童生徒の場合,見えにくさから周囲の状況を把握することが難しいため,初めての場所や周囲の変化に対して,不安になる場合がある。

このような場合には,

  1. 一人一人の見え方やそれに起因する困難を踏まえた上で
  2. 周囲がどのような状況かを教師が言葉で説明したり
  3. あらかじめ幼児児童生徒とその場に移動して一緒に確かめたり

することによって情緒的な安定を図るようにする。

その上で,

  • 幼児児童生徒が周囲を見回したり,聴覚などの保有する感覚を活用したりして状況を把握すること
  • 周囲の状況やその変化について教師や友達に尋ねて情報を得るようにすること

などを指導することが大切である。

したがって,視覚障害のある幼児児童生徒が,周囲の状況を理解し,状況の変化に適切に対応していくためには,この項目の内容と「2心理的な安定」,「3人間関係の形成」,「4環境の把握」等の区分に示されている項目の中から必要な項目を選定し,それらを相互に関連付けて具体的な指導内容を設定することが大切である。

【自閉症】気持ちを切り替えるための見通しを安心につなげる(心理×人間関係×環境)

 自閉症のある幼児児童生徒の場合,特定の動作や行動に固執したり,同じ話を繰り返したりするなど,次の活動や場面を切り換えることが難しいことがある。

このようなこだわりの要因としては,

  • 自分にとって快適な刺激を得ていたり
  • 不安な気持ちを和らげるために自分を落ち着かせようと行動していたり

していることが考えられる。

そこで,特定の動作や行動等を無理にやめさせるのではなく,本人が納得して次の活動に移ることができるように段階的に指導することが大切である。

その際,

  • 特定の動作や行動を行ってもよい時間帯や回数をあらかじめ決めたり
  • 自分で予定表を書いて確かめたり

して,見通しをもって落ち着いて取り組めるように指導することが有効である。

したがって,本人が納得して次の活動に移ることができるような指導については,この項目に加えて,「3人間関係の形成」「4環境の把握」等の区分に示されている項目の中から必要な項目を選定し,それらを相互に関連付けて具体的な指導内容を設定することが大切である。

ダイナモ
ダイナモ

キーワードは「見通し」。見通しがないと人は不安になって身動きがとれなくなります。

時間的・空間的な見通しをもてるように、自ら情報を獲得する力を育みましょう♪

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