「5身体の動き」では,日常生活や作業に必要な基本動作を習得し,生活の中で適切な身体の動きができるようにする観点から内容を示している。
目次
「(1)姿勢と運動・動作の基本的技能に関すること。」は,日常生活に必要な動作の基本となる姿勢保持や上肢・下肢の運動・動作の改善及び習得,関節の拘縮や変形の予防,筋力の維持・強化を図ることなどの基本的技能に関することを意味している。
姿勢には,臥位,座位,立位などがあり,あらゆる運動・動作の基礎になっている。姿勢を保持することは,広い意味では動作の一つである。これらの姿勢保持と上肢・下肢の運動・動作を含めて基本動作というが,この基本動作は,姿勢保持,姿勢変換,移動,四肢の粗大運動と微細運動に分けることができる。
「(2)姿勢保持と運動・動作の補助的手段の活用に関すること。」は,姿勢の保持や各種の運動・動作が困難な場合,様々な補助用具等の補助的手段を活用してこれらができるようにすることを意味している。
「(3)日常生活に必要な基本動作に関すること。」は,食事,排泄,衣服の着脱,洗面,入浴などの身辺処理及び書字,描画等の学習のための動作などの基本動作を身に付けることができるようにすることを意味している。
「(4)身体の移動能力に関すること。」は,自力での身体移動や歩行,歩行器や車いすによる移動など,日常生活に必要な移動能力の向上を図ることを意味している。
移動とは,自分で自分の身体を動かし,目的の場所まで行くことで,興味や関心を広げる上でも重要な手段であり,自立するために必要な動作の一つである。一般に,首のすわりから始まって,寝返りから座位へと続く,いわゆる初期の運動・動作の発達の到達点が歩行である。
「(5)作業に必要な動作と円滑な遂行に関すること。」は,作業に必要な基本動作を習得し,その巧緻性や持続性の向上を図るとともに,作業を円滑に遂行する能力を高めることを意味している。