個々の児童又は生徒が,活動しやすいように自ら環境を整えたり,必要に応じて周囲の人に支援を求めたりすることができるような指導内容を計画的に取り上げること。
目次
環境にはたらきかける主体を育てる
障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服するためには,児童生徒が,困難を改善・克服するために必要となる知識・技能等を身に付けるとともに,活動しやすいように環境を整えることが重要である。
このような観点は,これまでも必要とされてきたが,障害のある人々を取り巻く社会的状況の変化の中で,障害の状態を捉える上で環境要因が重視されていることや,周囲のサポートを得ながら自分らしく生きるという考え方が広がっていることを踏まえ,前回の改訂において明示したものである。
具体的には,
- 適切な明るさを確保するために照明等の準備をしたり
- 準備が一人でできない場合に他者への依頼の仕方を学んだりすること
を指している。
- 不快に感じる音や光,雰囲気等を避けるために場所を移動したり
- 移動することを周囲の人に伝えたりすることを学習すること
もその例である。
環境を整えて活動しやすいようにすることは
- 児童生徒自身が行う場合
- 周囲の人に依頼してやってもらう場合
が考えられる。
自立活動は,自立を目指した主体的な活動であり,まず,児童生徒自ら環境に働き掛けられるような力をはぐくむことが大切である。
児童生徒が自ら行おうとする活動について,
- 適した場所の選択
- 不要なものの除去
- 明かりや音などの室内環境の調整
- 道具や補助用具の選択と配置
などに気を付け,実際に身の回りの環境を整えることができるように段階的に指導する必要がある。
また,自分だけで活動しやすい環境がつくれない場合は,周囲の人に依頼をして環境を整えていくことを指導することが必要となる。
この場合,単に依頼の仕方を教えるだけに終わってはならない。
求める環境は,自分自身で判断しなければならないので,調整のためには再依頼をしなければならないこともあることなどを体験的に学習できるようにすることが必要である。
さらに,他者に支援を依頼することを経験するだけでなく,その反対に他者からの依頼を受けて支援を行う経験をすることにより,依頼を受ける側の心情にも配慮できるように指導することが大切である。
環境にはたらきかけるためのマインドと行動力を育みましょう!