膝の痛みや「このままだと手術かも」と言われた状態から、夏山登山を再び楽しむまでの道のりを、私なりに整理してお伝えします。もし「私もまた登りたい」「膝が気になるけど手術は迷っている」という方がいらしたら、少しでも参考になれればと思います。
目次
背景:股関節手術、膝は半月板損傷+変形性膝関節症
私は数年前、股関節の手術を受けました。その前5年ほどは“我慢しながら”歩いていた期間があり、股関節の痛みが出たことで膝にも影響が出ていました。膝についても、大学時代に半月板を損傷しており、股関節をかばっていたためか膝の痛みが再発していたのです。
膝に関しては、医師から「変形性膝関節症(いわゆる軟骨すり減り・関節の変形)で、人によっては人工膝関節置換手術を検討すべき」という説明を受けていました。
そこに、登山という「体を動かしたい」という願いもあり、手術という大きな決断を直ちには踏み切れませんでした。
PRP注射を選んだ理由とタイミング
登山をどうしてもあきらめたくない、膝の痛みをなんとかしたい、そんな思いの中で出会った治療が「PRP注射(多血小板血漿注射)」でした。一般的には「軽〜中等度の変形性膝関節症」「半月板・靭帯損傷の影響があるケース」などで、保存療法として検討されることが増えている治療でもあります。医療法人社団康静会 – 下肢静脈瘤・ハンドベインの専門クリニック+4ひざの痛み治療の教科書 | 再生医療・PRP療法+4人工関節と関節痛の情報サイト 〖関節が痛い.com〗+4
私は7月中旬、登山に備えてこの治療を受けることを決めました。登山計画があり、“できるだけ膝の負担を軽くして挑みたい”という思いが強かったからです。
治療直後から登山まで:リハビリと歩み
治療を受けてから約1週間ほどすると、日常的な膝の痛みが和らいできました。自宅でできるリハビリ、筋力トレーニング、散歩も“膝に負荷をかけられる”ようになったのです。
登山当初はまだ少し痛みがありましたが、“自分のペースで歩く”という選択をすることで、結果として百名山である 利尻山、蓼科山 を登頂することができました。特に下り坂で膝に来ることが多かったので、“ゆっくり確実に降る”という歩き方が功を奏しました。
気づきと振り返り
- 膝の変形や軟骨損傷が完全に元通りになるわけではない、といった報告もあります。例えば「変形が軽いほど効果が高い・持続する」というデータがあります。knee.or.jp+1
- そのため、PRP注射だけ“魔法のように”膝を元通りにするわけではなく、筋力強化・歩き方・体重管理・日常動作などの保存療法も併せて行うことが重要です。札幌ひざのセルクリニック|変形性膝関節症・手術しない膝治療+1
- また、「手術をせずに登山できた」というのは、あくまで“手術回避できた/登山挑戦できた”という意味で、膝に支障が出ないという保証ではありません。痛みの程度・登山ルート・回数・膝以外の関節(例えば股関節)も関与してくるため、今後もケアを続けていく必要があります。
- 登山中も「自分のペース」で歩くことが鍵でした。高山・急な下り・長時間行動などは膝に大きな負荷をかけやすいため、慎重にプランを立てることが大切です。
あなたに伝えたいこと
もし「膝が気になっている」「登山をあきらめたくない」「でも手術はまだ早い気がする」という方がいらしたら、以下の点にご留意ください。
- 膝・半月板・軟骨の状態を把握すること:レントゲン・MRI・医師の診察で、自分の膝がどの程度変形しているか・どこに損傷があるかを知りましょう。
- 治療オプションを理解すること:PRP注射は選択肢の一つです。進行度・年齢・負荷・体重・膝以外の関節状態などによって効果が出やすい・出にくいが分かれてきます。順天堂大学医学部附属順天堂医院+1
- 登山に向けた準備を継続すること:筋力トレーニング(特に大腿四頭筋、臀筋)、体重管理、歩き方の工夫(下り坂で膝を守る)、適切な登山ルートの選定など。
- 登山中も膝を守る意識を持つこと:無理をせず、自分のペースで。膝に違和感があれば無理をしない。登山計画・日帰り・宿泊・荷物重量なども膝への負荷を考慮。
- 治療後もフォローを怠らないこと:痛みが和らいだからといって“そのまま放置”せず、定期的に膝の状態をチェックし、症状が出たら早めに対処すること。
最後に
私にとって、膝の痛みと「登山を続けたい」という願いの間には葛藤がありました。手術を促されながらも「まだ自分には登りたい気持ちがある」と思っていた私は、PRP注射という選択肢を用いて——それが“完全な解決”ではなくても、“登山を再び楽しめるレベル”まで回復できたことは大きな前進でした。
これからも、膝を労りながら、山との対話を続けていきたいと思います。もし同じように悩んでいる方がいらしたら、一緒に「自分のペースで」「自分を大切にしながら」歩いていきましょう。

