目次
実態把握から指導内容までの流れ(例)の全体図
図2は,個々の幼児児童生徒の実態把握から具体的な指導内容を設定するまでの流れの例を示したものである。
ここでは,
- 実態把握から
- 指導目標(ねらい)を設定したり
- 具体的な指導内容を設定したり
するまでの過程において,どのような観点で整理していくか,その考え方について述べる。
上の図のプロセスを頭の中で働かせて授業作りをすることが大切です!
このプロセスを知ることができれば後継の先生は助かります💡
実態把握の段階
はじめに,実態把握の段階である。
図2の①は,実態把握のために必要な情報を収集する段階を示している。
必要な情報を収集するに当たっては,本解説第7章の2の「(1)幼児児童生徒の実態把握」に示す,
- 実態把握の観点
- 実態把握の具体的な内容
- 実態把握の方法
を踏まえることが大切である。
また,幼児児童生徒のできないことばかりに注目するのではなく,できることにも着目することが望ましい。
②は,①で収集した情報を整理する段階である。収集した情報をどのような観点で整理するかを例示している。
②-1の「自立活動の区分に即して整理」とは,障害名のみに頼って特定の指導内容に偏ることがないよう,対象となる幼児児童生徒の全体像を捉えて整理することを意図している。
その際,本解説第6章に示す6区分 27 項目の解説を踏まえて整理することが大切である。
経験が浅く、実態把握の視点を必要としている人も多いと思います。
あちこちの特別支援学校が作成しているチェックリストなどを使うことで補うことができます。
「自立活動 チェックリスト 実態把握」で検索してみてください♪
②-2は,「学習上又は生活上の困難の視点で整理」する段階である。その際,これまでの学習状況を踏まえ,学習上又は生活上の難しさだけでなく,既にできていること,支援があればできることなども記載することが望ましい。
学校生活や家庭生活の中で困っていることを具体的にピックアップすることが大切です♪
②-3は,幼児児童生徒の生活年齢や学校で学ぶことのできる残りの年数を視野に入れた整理である。
例えば,幼児児童生徒の「〇〇年後の姿」をイメージしたり,卒業までにどのような力を,どこまで育むとよいのかを想定したりして整理することである。
特に高等部では、残された学校教育の時間で何を優先的に指導するかを選定することが大切です!
指導すべき課題を整理する段階
次に,指導すべき課題を整理する段階である。③は,②で整理した情報の中から,指導開始時点で課題となることを抽出するものである。
そして,④は,③で抽出した課題同士がどのように関連しているのかを整理し,中心的な課題を導き出す段階である。
課題同士の関連とは,例えば,
- 「原因と結果」
- 「相互に関連し合っている」などの観点
- 発達や指導の順序
等が考えられる。
その際,本解説第7章の2の(2)「ア指導すべき課題相互の関連の検討」を踏まえて検討することが必要である。
指導目標を設定する段階
そして,⑤は,④に基づき指導目標(ねらい)を設定する段階である。
指導目標(ねらい)は,学年等の長期的な目標とともに,当面の短期的な目標を定めることが自立活動の指導の効果を高めるために必要である。
指導目標(ねらい)を設定するに当たっては,本解説第7章の2の(2)「イ指導目標(ねらい)の設定と目標設定に必要な項目の選定」を踏まえて検討することが大切である。
短期目標は「誰でも達成が確認できる」記述にして、わかりやすい評価ができるようにしましょう♪
そうすることで、達成状況を子どもと一緒に確認することもできます💡
目標達成に向けて要素を選定し、指導場面を具体化する段階
さらに,⑥は,⑤の指導目標(ねらい)を達成するために必要な項目を選定する段階である。
ここでは,自立活動の内容6区分 27 項目から必要な項目を選定するが,その際は,本解説第7章の2の(2)「イ指導目標(ねらい)の設定と目標設定に必要な項目の選定」を踏まえて選定することが大切である。
自立活動の専門用語を使って考えるところになるので、ここを難所に感じる人は多いです💦
ICFの生活機能モデルも頭に入れると納得しやすくなります👍
そして,⑧は,⑥で選定した項目同士を関連付けて具体的な指導内容を設定する段階である。
その際,根拠をもって項目同士を関連付けることが大切である。
このため⑦に項目同士を関連付けるポイントを示すこととした。
選定した項目同士を関連付ける場合,「⑤の指導目標を達成するためには,こんな力を育てる必要がある。したがって,区分○○○の項目○○と区分□□□の項目□□とを関連付けて指導する。」など,④で行った課題同士の関連や整理を振り返りながら検討することが大切である。
- ストロングポイントを活かしてウィークポイントを補うことを考えたり
- 発達が進んでいる側面にスキルをガンガン上乗せすることを考えたり
- 障害状態を改善する手段について、選択肢を多く持てるようにしたり
セルフプロモーションの力を育てるためにしっかりと考えておくべきことです♪
最後に⑧の具体的な指導内容を設定するに当たっては,本解説第7章の2の「(3)具体的な指導内容の設定」を踏まえて検討することが大切である。
なお,⑥と⑧を結ぶ線は,⑥の各項目と関連する⑧の具体的な指導内容とを結んだものである。
結んでいる線が正しいかどうかのジャッジ(審査)にあまり神経を使う必要はありません。
ここで確認すべき大事なことは以下の3つ!
- 困難の改善・克服に向けて広い視点(6区分27項目)で計画が立てられていること
- 自立活動の授業の時間に限らず、指導のハイライトとなる場面が具体的に決められていること
- 他の先生や保護者、何より子どもと共有できる具体的な目標と評価方法が決められていること
最後に一言〜本質はこれ!〜
ここまでの解説で示された内容を、私なりに抽象化すると以下の3点があがってきます。
- 時間的に広い視野で考える
- 空間的に広い視野で考える
- 複数の角度(6区分27項目)から困難の改善・克服を計画する
過去(発達の状況や学習履歴)と未来(進路や将来の姿)について考える!
学校だけでなく様々な場所でどのような障害状態があるか/あったか想像する!
解決手段を考える切り口を様々な組み合わせから考える!
自立活動の計画は多次元空間に最適解の点を打つようなものです。
その判断はとても難しいという前提に立つことが、議論する上で大切です。
考え方を理解して、使いこなしている人が周りにいれば、ぜひ教えてもらうことをおすすめします♪